「初恋」試写会

物語は「3億円事件の実行犯は18歳の少女だった!」という斬新な設定を軸にした少女のせつないラブストーリー。
(ネタバレするよ♪)
体制に反発していた学生運動がまだ活発な時代。恵まれない家庭環境下にあったみすず(宮崎あおい)は、兄リョウ(宮崎将)のたむろする新宿ゴールデン街のジャズ喫茶「B」へ・・・そこで出会ったのは東大生の岸(小出恵介)やその仲間達。仲間がリンチされたことをきっかけに物語は急転し、岸はある計画のためみすずを連れ出す・・・それが「3億事件」の始まりだった、って内容かな。


印象に残ったシーンは、冒頭のジャズ喫茶でみすずが放った一言。


「大人になんかなりたくない」


みすずの眼光が鮮烈でとくに印象深かった。


ナレーションをあおいちゃんが担当。なんか暗い海の底に引き込まれるように物語に入り込めた。相変わらず不遇を囲った役のあおいちゃんだけど、岸と出会って岸に「必要とされる」ことで、孤独から放れこの世に光を見出したにもかかわらず、現実には共犯者としての利用や罪悪感にさいなまれることになっていくのが、せつなかったし、守ってあげたくなった。
ましてや岸への想いは彼女にとっての「初恋」という少女にとっての一大事で永遠に記憶される出来事かと思うと、なおさら悲哀を感じずにはいられなかった。事件に加担するか否か?揺れ動く中(映画館で一人たたずむワンシーンで)、葛藤するみすずの瞳が、今もやけに胸に焼き付いてはなれない。


「3億円事件の犯人は少女だった」という出来事は、物語を通して見れば、あくまで通過点に過ぎない出来事で、そこに向かったみすずの動機や、事件を境に新たに抱えた傷や痛みが
映画の軸になっていた。


言葉ではなく表情で魅せる宮崎あおいに圧倒された2時間だった。