「ストロベリーショートケイクス」感想


恋の訪れを待つ里子(池脇千鶴)とデリヘル嬢の秋代(中村優子)、結婚願望の強いちひろ中越典子)と過食症イラストレーターの塔子(岩瀬塔子)のフェミニンな時間が流れる2時間。物語は里子を軸に2組のペアで展開。

 冒頭に豪快なフラレ方をする里子は、その豪快な経験から立ち直ると、潔いというか、飄々としてるというか、淡々と世の中を泳ぐように生活してるけど、ふと口ずさむ「恋したいっすねぇ・・・」が妙にせつなくもリアル。決して力強さを押し出したりしてるわけではないけど、軽やかに「女は強し」を感じさせる存在。
 あと、シーンの合間にインサートされる「神様!?」へのお祈りの内容がテンポ感や間とか軽妙で、フックがきいてて面白かった。

 そんな里子が受付をしているデリヘルに勤めるのが秋代。デリヘルで働く事実を隠しながら、友達のふりをしながら、ひそかに想いを寄せる菊地(安藤政信)に口実を作っては会いに行く・・・
 墓地の近くに住んでは棺の中で眠るなど終末感を思わせるエキセントリックな一面と菊地の前で“女”を隠して開けっぴろげであっけらかんと振舞う女の意地らしさ、みたいなとこが妙に痛かった。

 いわゆる腰掛OLなちひろは、恋愛体質で男によりどころを求めすぎて重くなっちゃって捨てられる、みたいな典型的なタイプ。星占い命だったり、お子ちゃまだったり、ルームメイトの塔子からすれば厄介もんでいい所無しで、ないものねだりばっかしてるんだけど、陰口叩かれてもフラレても瞬間的に“強さ”を発揮して笑顔で乗り越えていくとこだけは、共感できたかな。

 あと、イラストレーターというフリーの仕事で懸命に歯食いしばってプライドもって仕事してるんだけど、ルームメイトのちひろにすら弱みを見せられず、拒食とはき癖でボロボロになってく塔子。なんか息抜きの仕方がわかんなくて張り詰めてた糸のような生き様がねぇ、、、なんとも痛々しくて、スクリーンからちょっと目を背けたかったかな。ひるがえって息抜きの仕方だけでも知ってる自分は、まだ余裕あるな。とかw


まぁ、紆余曲折あって、たどりついた海辺。ハッピーエンドじゃないけど、救われる予感とエンディングテーマの歌詞の世界観もひっくるめて本編を終えてるカンジなので、エンドロールで立っちゃダメ!絶対!w いじめ、かっこ悪い(by前園、みたいな。

原作:魚喃キリコ
監督:矢崎仁司
出演:池脇千鶴中越典子中村優子、岩瀬塔子、加瀬亮安藤政信
公式:http://www.strawberryshortcakes.net/
(音出ます)